寺田幸代さん 神奈川県→美濃 2014年にユネスコ無形文化遺産登録された本美濃紙。
寺田幸代さん 神奈川県→美濃 2014年にユネスコ無形文化遺産登録された本美濃紙。寺田さんはその紙を漉く伝統工芸士、澤村正氏の工房で日々紙を漉いている。 昔からモノづくりが好きで、特に紙から何かを作ることを得意として公募展での受賞歴もあった。そしてその素材としての紙に興味を持ち、もっと突き詰めようと紙漉き職人になる決意をした。 最初はどうしてよいかわからず、美濃に来た時にたまたま寄った提灯屋で「紙漉き職人になりたい。」と話したら美濃和紙の里会館で紙漉き講座があることをおしえてもらい受講できたということだ。人との出会いが道をつくってくれた。その後何度か講座を受け、職人になるべく伝統工芸士の澤村正氏のもとへ通い師事することになった。 「紙漉きだけでなく、他にもやりたいことがたくさんあります!」と寺田さんは言う。澤村氏の工房で3年程修業して、今では氏の片腕だ。でも寺田さんにはそれだけではない構想がある。かつては約5,000戸軒ほどあった紙漉きの家も今は20軒ほどになり、伝統工芸として注目を浴びている美濃和紙ではあるけれど、紙だけで生計をたてていくのは厳しい世界だ。 紙漉き一人でがんばっても限界がある、ということから寺田さんは地域全体を盛り上げたいと思った。地域が盛り上がれば訪れる人や移住者が増え、和紙全体も盛り上がるだろうということだ。昨年11月には同じ紙漉き職人や移住者仲間と地域を巻き込んだイベント「美濃和っ紙ょいまるしぇ」を開催した。手応えを感じ、今年の5月にも開催予定だ。他にも、自宅を改装してカフェをオープンさせたいと思っている。 寺田さん達が地域を巻き込み、歴史を刻む土地に新たな風が吹き込む、そんな流れを感じた。